即決和解と公正証書

契約書の作成依頼を受けることが多いですが、契約内容を当事者が守ってくれない場合は、最終的には訴訟を提起し、強制執行等の対応を取らなければなりません。
しかし、訴訟提起には時間と費用がかかりますので、契約が守られない恐れがある場合は、事前に出来る対策を取っておいた方が良いです。
そこで考えられるのが、①強制執行認諾約款(債務を履行しない場合は強制執行に服する旨の条項)付公正証書の作成と②即決和解(合意解決の見込みがある場合に簡易裁判所に対してする和解の申立て)となります。
どちらも、相手方が合意内容を守らなかった場合に強制執行できるという効果がありますが、それぞれの特徴は次のとおりです。

強制執行認諾約款付公正証書
○強制執行認諾約款が認められるのは、金銭債権(金銭の一定の額の支払い又はその代替物若しくは有価証券の一定数量の給付)のみ。
○適法な契約・合意であれば、様々な用途に活用できる。
○当事者の都合が良い日を公証役場に予約できる。

即決和解
○申立実費は、印紙代2,000円と郵券代のみ。
○建物の明渡しに関する事件に有効。
○離婚協議等の家事事件については利用できない。
○申立てから和解期日まで、1か月から3か月程度かかる。
○和解期日は、裁判所が指定する。

通常、即決和解の方が、公正証書作成より費用は低額になるのですが、簡易裁判所へ和解の申立てをした後、和解期日まで結構な時間がかかります。
加須市を管轄する久喜簡易裁判所では、現在、申立てから和解期日まで凡そ3か月要するようです。
当事者間の合意があれば、どこの簡易裁判所でも申立可能なので、急ぐ場合は、早い期日を指定してくれる裁判所を探して申立てをすることになるでしょう。