認知症徘徊事故訴訟に思う後見業務

「認知症となった方の親族は、どこまで責任を負わなければならないのか」という点に注目が集まった認知症徘徊事故訴訟の最高裁判決が下されました。

 

民法714条では、責任無能力者が第三者に損害を与えた場合、監督する法定の義務を負う者は賠償義務を負うと定めていますが、認知症となった方の家族が法定の監督義務者になるとすると家庭で介護することも難しくなるでしょう。

幸い、今回被告となった親族は賠償義務なしとされましたが、判決要旨からは親族や成年後見人でも監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情がある場合には、賠償責任を負う可能性があることが示唆されています。

 

私は一人暮らしの方(認知症有)の成年後見人にもなっていますが、どこまでの責任を負っているのかを考えると少し恐ろしくなります。

成年後見人に医療行為の同意権を付す改正も検討されているようですが、あまりに責任が重くなると受任することを躊躇してしまうかもしれません。